「学生時代から大切にしてきた“人と向き合う姿勢”が、今の仕事の根っこにあります」
そう語るのは、医療・福祉系の法人にて人事(採用・研修)業務を担っている早志颯亮(はやし・そうすけ)さん。
2017年に龍谷大学政策学部を卒業後、大手外食チェーン店でキャリアをスタートさせ、現在は関西を拠点に展開している1500名規模の法人で人事を担っている。
外食業界から人事の世界へ──その転機には、彼自身の「人に関わる仕事がしたい」という一貫した想いがあった。
採用の仕事がしたい。その想いがキャリアを動かした
大学では都市計画を学んでいたこともあり、早志さんはまちづくりの視点から「店舗開発」に関心を持ち、卒業後は国内最大手の外食チェーンへ入社しました。
配属後は店舗スタッフのマネジメントを任されるとともに、新店舗の立ち上げにも多く携わり、お客様の入店から退店まで細かく定められたオペレーションや、徹底された教育体制の中で、店舗運営の実践経験を積んでいきました。
一番印象的だったのは、新しい店舗の立ち上げにあわせて全国を転勤しながら働いたことです。
2年半で4度の転勤は、体力的にも精神的にもハードでしたが、マネジメント力や育成の感覚を磨く貴重な機会でした。
しかし、就職活動中に出会った採用担当者への憧れがあり、将来的には「採用に関わる仕事がしたい」という気持ちが残っていました。
とはいえ、当時の職場で人事に異動するためには、まずマネジャーとして昇格し、一定の実績を残したうえで、社内公募に応募する必要がありました。
昇格には複数の試験や半年間の本社研修も伴い、目指すポジションまでの道のりは非常に長かったですね。
マネジャーになる一歩手前まで来ていましたが、転勤続きの生活に限界を感じていたこともあり、自分が本当にやりたいことを見つめ直しました。」
そうして「関西で腰を据えて働けること」「未経験でも人事の仕事に挑戦できること」を条件に、転職活動を開始。
その中で出会った現在の医療・福祉系の法人に、新たなキャリアのスタートを見出しました。

大学時代に培った「人に寄り添う力」
人事の仕事に携わる今、振り返って思い出すのは、大学時代に積み重ねた多くの経験だという。
今思えば、本当にエネルギーに満ちた学生時代でした。
スケジュール帳は常に3か月先まで埋まっていて、充実した日々を過ごしていました。
1・2回生の頃は、クラスサポーター委員会、よさこいサークル、そしてアルバイトという3つの活動を中心に過ごしました。
3・4回生では、クラサポ、アルバイトを続けながら、阿部ゼミ(都市計画)に入ってより専門的な学びにも力を注ぎました。
中でもクラサポでは、1回生の学生に寄り添い、相談に乗る経験を積んだという。
相手の話に耳を傾け、どんな言葉がその人にとって支えになるのかを考える、その経験が、今の採用活動や研修運営での関わりに活きていると感じます。
また、阿部ゼミでの活動では、まち歩きやフィールドワークを通じて、現地の課題を自分たちで見つけ、分析し、提案へとつなげるプロセスを重ねました。
模型を作ったり資料をまとめたりと、地道な作業が多かったですが、“一足飛びにはいかない”という姿勢や、課題にじっくり向き合う分析力・提案力が自然と身につきました。

キャリア支援のプロフェッショナルを目指して
人事の仕事に本格的に関わるようになってからも、学びを止めることはなかったですね。
2023年には、国家資格である「キャリアコンサルタント」を取得。
現在は新卒・中途採用に加えて、教育研修の設計や実施にも携わっており、「キャリア支援の専門性」をさらに高めることを目指しています。
採用して終わりではなく、働き続けてもらうにはどうすればいいか。
その視点で今後は“定着支援”にも力を入れていきたいと思っています。
その一環として、従業員の私生活の面に寄り添うための支援スキルを磨くべく、今後は「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格取得も視野に入れているという。
キャリアとプライベート(ワークライフバランス)は切り離せないもの。
だからこそ、どちらにも寄り添える人事でありたいと思うんです。

支える人として、これからも
早志さんが人事というキャリアを選んだ背景には、学生時代の活動、最初の職場での経験、そして「誰かの人生に関わりたい」という変わらぬ想いがあります。
そんな彼が今、最も大切にしているのは「人に寄り添う姿勢」。その原点は、学生時代に出会った人たち、そして自らが支えられた経験にあるのだと思います。
就職活動中に出会った採用担当者のように、僕も誰かの背中をそっと押せる存在になりたいですね。
その想いは、これからもずっと変わりません。
採用から育成、そして定着まで──「人が自分らしく働き続けられる環境」をつくるために。
これからも、早志颯亮さんは人とともに歩んでいく。
おすすめの本
ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える
2015/7/31
ラズロ・ボック (著), 鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)